平成30年4月から柔道整復師の開業には実務経験と研修が必要に! 2017.12.19
柔道整復師は平成30年4月から実務経験と所定の研修を受けなければ整骨院を開業しても保険の取り扱いができなくなります。
これまで整骨院の開業には資格を持っていることが条件だったことを考えると、大幅の変更と言えるでしょう。
今回はこの新規開業に関する変化についてと、今後開業する場合の注意点、特例について解説していきます。
平成30年4月から開業する場合は実務経験と研修が必要
平成29年6月15日に厚生労働省は「施術管理者の要件について」を発出しました。
「この施設管理者の要件について」とは、平成30年4月から施術管理者(整骨院を新規開業)する場合は、実務経験と研修を受講しなければならないという内容のものです。
保険の不正受給や柔道整復師の数の大幅な増加などを背景にこのような要件が策定されたと言えるでしょう。実務経験とは?
この場合の実務経験とは、今後養成学校をを卒業する人だけでなく、すでに卒業をした人も含めてです。
確定ではありませんが、現状のところ、以下のような実務経験が必要になることが見込まれます。
平成30年4月から平成年3月までに施術管理者の届け出をする場合 | 1年間の実務経験 |
平成34年4月から平成36年3月までに施術管理者の届け出をする場合 | 2年間の実務経験 |
平成36年4月以降に施術管理者の届け出をする場合 | 3年間の実務経験 |
対象者に既卒も含まれているため、段階的に期間を伸ばしていくことになっています。
すでに実務経験が3年以上ある人は問題ありませんが、まだ養成学校を卒業していない人や、実務経験が足りない人は、早めに施術管理者の届け出を出す必要があります。
実務経験の対象となるのは、現状のところ償還払い以外の受領委任を行っている施術所のみとなっており、病院の整骨院などは今後検討される予定です。
経験年数の具体的なカウント方法は?
実務経験年数は、「施術所の管理者の雇用契約期間の証明書」「従事した施術所単位の証明」「通算期間」となっており、柔道整復師の資格を取得後が対象です。
届け出には統一の証明書が必要になり、厚生労働省が審査を行います。
研修とは?
今後整骨院を開業し、保険を取り扱いをする場合は、誰でも必ず研修を受講しなければならなくなります。
研修は16時間以上2日程度となっており、内容は以下のようになっています。
- 職業倫理について
- 倫理
- 社会人・医療人としてのマナー
- 患者との接し方
- コンプライアンス(法令遵守)
- 適切な保険請求
- 保険請求できる施術範囲
- 施術録の作成
- 支給申請書の作成
- 不正請求の事例
- 適切な施術所管理
- 医療事故・過誤の防止
- 事故発生時の対応
- 医療機関との連携
- 広告の制限
- 安全な臨床
- 患者の状況の的確な把握・鑑別
- 柔道整復師術の適用の判断及び的確な施術
- 患者への指導
- 勤務者への指導
開業自体はできる!
今回このような2つの条件が追加されましたが、実は整骨院の開業自体は実務経験がなくても、研修を受けなくても可能です。
ただし、開業したとしても保険の取り扱いはできません。
自由診療中心の整骨院を開業するのでしたら、そこまで必要ではないでしょう。
受領委任の届け出方法
受領委任の届け出は、各都道府県柔道整復師会から行う必要があります。
その際以下の書類が必要になります。
- 施術所の解説届もしくは施術所の変更届の写し
- 免許証の写し
- 施術管理者専任証明
- 勤務形態確認票
- 欠落事由非該当申出書
- 実務経験期間証明書の写し
- 研修終了証の写し
平成30年3月に資格を取得する人向けの特例が出された
11月20日に柔道整復療養検討委員会にて「施術管理者の要件について」が取り上げられ「限界事例の者への対応」という特例が提示されました。
この特例は「平成30年3月の国家試験で柔道整復師の資格を取得し、5月末日までに施術管理者になる届け出をした人」のみ受領委任の届け出から1年以内に7日間の自分が運営する施術所以外で実務研修を受けることで、受領委任の取り扱いが可能になるというものです。
研修を受ける施術所は、以下2つの条件を満たしている必要があります。
- 施術管理者として継続した管理経験が3年以上
- これまで行政処分を受けていない
また、届け出から1年以内に研修を受けなければならないので注意が必要です。
該当者は事前に免許や開業方法についての確認を
平成30年3月28日の試験結果発表後は、届け出をする人で窓口が非常に混雑することが見込まれます。
免許の受領までは時間がかかる場合がありますので、事前に届け出方法や申請方法を確認しておいたほうがいいでしょう。
合格発表から約2ヶ月の期間がありますが、事前に準備して損はありません。
開業を検討している人は早めの手続きがおすすめ!
今後整骨院を開業し、保険を取り扱うためには実務経験と研修の受講が必要になります。
これまでのように、簡単に開業することができなくなってしまうので、近いうちに開業を検討している人は早め早めの行動をおすすめします。
事前に手続きの流れや申請書類について確認をしておくようにしましょう。
また、今回紹介した内容以外にも、今後話し合いによって新たな決まりや変更点が出る可能性があります。
動向から目を離さないようにしましょう。
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